旅をする理由の一つに、日本では見られないような絶景に出会いたいという方も多いのではないでしょうか。有名な絶景は数多くありますが、その中でも秘境と呼ばれる場所があります。

SNSで見つけた「サルアガセイエッド」という場所もその一つ。訪れた人が少ないため、行き方などもあまりはっきりしていません。

そこは、まさしく秘境。そして、心温かい人々と出会える最高の場所でした。

サルアガセイエッドまでの道のりは果てしない

サルアガセイエッドまで訪れるためには何度もバスを乗り継がないといけません。だいたいの位置情報とネットで見つけた写真を頼りに、少しずつ少しずつ目的地まで近づいては、バスを降り。

また写真を見せ
「この場所に行きたいんです!」
とバスターミナルで人々に尋ねるという繰り返しです。

超巨大な小麦粉でできたパンらしきものを食べて腹ごしらえ。

「ほんまにたどり着くのかこれは…」
そんなふうに思いながらも、イラン人の方々に教えていただいたバスに乗って先へ進んでいきます。

たどり着くまでの道のりでの温かい車内

「よくそんな遠い国からきたな!」
きっとそう言っていたのだと思います。

バスと呼ぶには小さすぎるミニバンのような乗り物の中では、おそらくサルアガセイエッドで暮らしているのであろう人々が、僕に声をかけてきてくれます。

もしかすると、初めて見る日本人なのかもしれません。

本当にたどり着くかわからず不安そうな遠い異国からきた旅人に
「大丈夫だよ。私たちが連れて行ってあげるからね。」
と言ってくれるように、たくさん話しかけてきてくれます。

そして車内ではイランの歌も歌ってくれます。

すっかりお友達。言葉はまったく通じないし、本当にサルアガセイエッドにたどり着くのかもわからないけれど、なんだかこの出会いがあっただけでこの旅をやってよかったなぁと思えるような気がしました。

サルアガセイエッドの秘境感がすごい

小さなバスが止まり、一緒に乗っていた人たちがおいでおいでと手招きしてくれ、おそるおそる降りてみたその場所は

僕がこの目で見たいと思った写真よりも素敵な景色でした。

平地がないため、崖の斜面に沿って建てられた住居の屋根は人々や動物が通る道となっていて、階段状の集落がありました。

イランにはこのように階段状になっている村が他にもありますが、サルアガセイエッドの規模と美しさは他の村よりも際立つものでした。

朝に出発してから8時間以上が経過しており、バスも4つ乗ってやっとたどり着ける、とても簡単には行ける場所ではありませんでしたが、本当にこの場所にきてよかったとこの景色を見て思いました。

子供たちとの交流が最高の思い出

サルアガセイエッドの絶景は僕が期待していた以上のものだったのは間違いありませんが、もっと印象に残っていることがあります。

それは、ここで暮らす子供たちのフレンドリーさです。

世界を旅していると、物珍しさからかもしれませんが、たくさんの子供たちから話しかけられることがありますが、サルアガセイエッドでのそれは本当に今でも忘れることができません。

言葉はまったく通じませんが、素敵な笑顔の子供たちとのふれあいは本当に愉快で、楽しいものでした。

子供たちはこの土地を初めて訪れる僕に、村の案内をしてくれます。ヤギや鶏を見せてくれたり、大人には内緒にしているつもりのとても小さな滝を紹介してくれたり。

子供たちにとってのこの村の自慢をたくさん見せてくれます。

両手はいつも、子供たちの手と繋がっていて
「次はあそこへ行こう!こっちこっち!」
そんな風に村のあちこちへ連れて行ってくれます。

これが旅の醍醐味かと改めて感じる旅だった

「ネットで見かけた絶景を見たかった」
そんな気持ちで遠路はるばる訪れたサルアガセイエッドの旅でした。

確かにそこにはネットで見た以上の絶景がありました。

そして、そこまでの道中で苦労しつつも地元の人との交流を楽しみながら旅をすることや、そこで暮らしている人たちとの素晴らしい出会いがありました。

宿泊施設もなく、帰りのバスもすでに出てしまっていたため、野宿するしかなかったのですが、村で暮らしている方が家に招いてくれ、食事まで用意してくれました。

絶景を見ることを目的とした旅だったけれど、それ以上に素敵なものを見つけることができる、そんな旅をイランの山奥でできた気がします。

「これが旅の醍醐味だな」
そんなふうに感じることができるサルアガセイエッドへ、ぜひ多くの方に訪れていただきたいです。

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