西に沈む光

涼しい空気に真夏のような日差し、聴こえてくるラテンの音楽はすぐ隣の国メキシコの雰囲気を漂わせる。西に行けばビーチがあってどこの海にだって光が沈む、西海岸にきたってこういうこと。

流れる風に巻き込まれて

道を歩けば今のアメリカの政治に対する自分の意見を大声で叫ぶ人がいて、少し離れたところでベンチにもたれている人は彼の叫び声にYES / NOで答え、自分の意見を独り言のように添える。

海沿いではローラスケートを履いた夫婦がベビーカーを押しながら滑り過ぎていく。海パンで自転車を漕ぐ白髪のおじいちゃんの自転車のベルはハンバーガーの形で、短めのトップスにショーパンの女の子はみんなVANSのスニーカーを素足で履いている。

この国の人はやっぱりきっと、日本人よりずっと自由だった。平日でも人が多くいるビーチ。会社は?学校は?どうしてもこんな疑問が浮かんでしまう。でもここはアメリカ、これが普通、これが自由。

いつかこの日に憧れて

なぜこの国に憧れを抱くのか、そんなことを考えても明確な言葉は自分自身から出てこなくて、自分の中の感覚がそうさせる。旅に出る理由なんてなんでもいい。専門学校を卒業した私は22歳の夏の終わりについにこの地にやってきた。

LAで車を借りて私たちだけのロードトリップが始まった。1週間後に迫ったSan Diegoで行われるColdplayのliveに備え私たちの空間さえも、彼らの世界観に染めていく。

全てを夕焼けに染める時間、永遠に続く道を走る時には「yellow」を流す。全てはmellowに思えてこの夕日が永遠に沈まないんじゃないかって感覚に陥る。

特別なものは多分何もいらない

大人になればなるほど、「旅する意味」を無意識のうちに自分に問うけど、そんなものに形も意味もきっとなくて、「行きたいと思ったから」ただまっすぐにこの気持ちをいつまでも大切にしたい。

行きたいと感じた場所では巡り合わせの出来事がきっと起こる。

2週間弱のロードトリップでは行けた場所はほんのわずかで、でも毎日違う景色を見て、いつか行きたいと憧れた景色が目の前にあって、また何回でもこの地にいきたい。

旅で巡ったおすすめの場所

○Mission Beach

穏やかな雰囲気で賑わうビーチ、ドライブでの疲れを癒すのにおすすめ。近くにあるBelmont Parkという遊園地も懐かしい雰囲気。西海岸だけあって綺麗な夕日が見れる。

○Salvation Mountain

カリフォルニア州の砂漠の真ん中にぽつんとある「Salvation Mountain」。ひとりのおじいさんの手で“神は愛”をテーマに30年以上かけて造られたアート作品。いつか行きたいとBUCKET LISTに描いた夢が叶った場所。

○Joshua Tree National Park

豊洲のショッピングモールのとあるお店で大きく引き延ばされたモノクロ写真が目に入った。ただの木なんだけど、なんか魅力を感じて、それがこの地Joshua Tree National Parkだった。

写真で見た世界を目の前で見て感じる。サボテンや不思議な木でいっぱいの広大な敷地をドライブしてたら奇遇にも友達に巡りあった。

○Death Valley National Park

北アメリカで気温が最も高くそして最も標高の低い場所。広大な敷地では大きな岩に塩の大地、砂漠までいろんな自然の姿を見ることができる。行かない理由が見当たらない。この旅ではここがまた行きたい場所NO.1。

海抜0m以下の場所もあり暑さと乾燥がとにかく凄くて手に持ってたパンが20秒後にラスクになるほど。ただ名前とは裏腹にジョシュアツリーよりも遥かに施設が整っていて、死の谷でアイスすら食べれた。

まだまだ旅をしよう。

旅へ出ると何気ないけど決して当たり前ではない瞬間に巡り合う。ひとつひとつが目新しく、色んな感動を与えてくれる。こんな瞬間があるから旅はまだまだやめられない。アメリカを訪れて久しぶりにそう感じ、自然に心奪われた。

まだまだ旅をしよう。

好きなことを仕事にして、好きな人と仕事をする。

好きな場所へ行き、常に新しい刺激を吸収する。

きっと新しいことが始まる。

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