「やりたいなら、やればいい。」

“成功すると思うから、やってみたい。”
“出来ないと思うから、挑戦しない。”⠀

そんな、判断基準では、いつか必ず後悔するだろう。

“「出来る」と思うから、挑戦する。”
ではなくて「やりたい」と思えば、挑戦すればいい。

この時に、どんな結果が出ようとも、悔いはないと思う。逆に”出来ること”ばかりやっていても、人生に達成感は味わえないのではないだろうか。

基本的には、やりたいと思ったことに、向かっていけばいい。無駄なことなんてないから、日々やりたいことに向かっていけばいい。

数年前、英語も喋れなければ1人で飛行機も乗ったことがなかったごく普通の大学生。希望と不安をバックパックに詰め込んで、僕の旅は始まった。いや、あれは、ほとんど「不安」だけだったかもしれない。

不安と、そして無謀としか言えない無茶苦茶な旅だった。とても怖かったし、夜になるとギュッと何かが僕を押し殺す、未来への不安を感じる日々もあった。

「行動」と「恐怖」というのは、いつも隣り合わせなんだ。その先にあるのは、怖くてもやるか、やらないか。怖くても海に飛び込むか、怖くて後ずさりしてしまうか。

しかし、海の青さというものは飛び込んだ者にしか分からない。そんなことを思いながら、飛行機の窓から外を見た。次の目的地は西オーストラリア・”楽園の田舎町”と名高い「ブルーム」だ。

楽園の田舎町・ブルーム

オーストラリアのパースから飛行機で北へ2時間半の場所に位置するブルーム(Broome)。日本を飛び出したのは7月だったので、南半球であるオーストラリアは冬。

世界を旅していると、天気や気候の違いは多々あって、「日本との違い」を楽しむのも旅の醍醐味だと思っている。

ここブルームは「真珠養殖」が有名で、冬でも最高気温が20度を超える「楽園の田舎町」として知られている。

実際、パースまでは極寒だったのに、ブルームに到着するとその暖かさに驚いた。だけど「冬の太陽」で、日焼けはさほどしないんだ。面白いよね。

過去に48カ国・都市数はもはや分からないほど旅してる僕だけど、「ブルーム」はかなり居心地の良いチルスポットだった。

日本ではあまり知られていない超穴場的なスポットだから、これは秘密にしておいてくれ!笑

まずは「鳥の目」になって世界を見渡せ

旅をしている間、僕は「視点」というものに気をつける。「視点」というのは、「ものを見る角度」だ。ひとつの角度からしか物事を見られない、つまらない大人にはなりたくない。多方面から物事を見て、ようやく「物体」を捉えることができる。

だから、たとえお金があったとしても、ずっとホテル暮らしの旅はしたくない。ホテルに泊まったら、ゲストハウスにも泊まる。レストランにも入るし、おっちゃんと肩を並べて屋台飯も食べたい。

ビジネスクラスに乗る前には、空港泊をしてみる。みたいな、色んな角度から物事を体験してみて、それが「面白味」に繋がると僕は思う。

この角度を変えて国を、旅を見ることを僕は、「王様から乞食まで」とか、「鳥の目・虫の目」だとか呼んでいる。要は視野を広げて、角度を変えて、その土地を見てみろってことだ。

じゃあさっそくだが、オーストラリア・ブルームを「鳥の目」で見てみよう。そのためには「ヘリコプター」が必要だ。

もし仮にキミが、地面からブルームを見たことがあるなら、ヘリコプターに乗って、この地域の興味深い風景をまったく違う視点で楽しんでほしい。

青く輝く美しい海。深い緑に覆われた湿地帯。どうやらあそこには、野生のアリゲーターが生息しているようだ。遠くを見ると、西オーストラリアで有名な「赤土」の輝く大地も見える。

ヘリコプターで風を切る感じ。最高だった。では、次は「虫の目」になって、このブルームを見てみよう。

乾燥した赤土の荒野が広がる・ブルーム

広大な大地を、荒野を車で走るのは大好きだ。果てしなく続く道のりを眺めていると、自分の悩みなんかがちっぽけに感じてくる。

西オーストラリアの赤土は、細かくとてもサラサラしている。この赤色は土の中に含まれている酸化鉄が作り出している色で、酸化鉄は鉄鉱石の主成分だそう。

赤土の道を進み続けると、突然白い砂になる。この西オーストラリアの地形というのは、なんとも面白いものだ。

ケーブルビーチでラクダに乗る

赤土の土地を抜けると、ビーチが広がる。ここは白砂の「ケーブルビーチ」といって、距離にしておよそ22kmも続く。

遊泳区間で泳いだり、どこまでも広がるビーチ沿いをランニングしたり、自転車に乗って、走ったり、日光浴をしたり、サーフィンを楽しんだり、ケーブルビーチでの楽しみ方は様々だ。

ケーブルビーチでは、サンセットの時間に合わせてキャメルライドが体験できる。過去にラクダに乗って、サハラ砂漠を旅したことがあったが、海岸でラクダに乗ったのは初めてだ。

ラクダに揺られながら、インド洋に沈む夕日を眺め、自分の人生を振り返る時間は至福そのものだ。

長年「シティボーイ」だった僕は、旅を通して「自分たち人間は、自然の中で“生かされている”」ということに気付く。⠀

特に「夕日の美しさ」は別格で、沈みゆく夕日を眺めていると、「永遠とはなにか」という果てしない問いを自分の中で感じることが出来る。

旅を通して、海の美しさ、山の壮大さ、夕日の美しさを再確認し、この「地球」という星で、「惑星規模」で物事を考えるようになった。

そんな中で、常に忙しく疲れ顔の都会に住む人間が、夕日の美しさを1日5秒でも感じることが出来たら、世の中は少しだけ良くなるんじゃないかなって本気で考えている。

退屈なのは、世界か、自分か。いつもと違う視点を、常に持ち続けていたい。

エピローグ

今の”生き方”が「正しい」かは分からないけど、それは通勤ラッシュの電車に揺られる、サラリーマンだって、それが「正しい」生き方かどうかは分からない。

そもそもその「生き方」が”正しい”とか、”間違ってるか”とか、誰にも分からないし、言い合いをする必要なんて、どこにもない。

目には見えないかもしれないけど、この世には、この世界には、自分以外には誰も歩むことのできない唯一の道が、必ずある。その道はどこに行き着くのか、と問うてはならない。自分だけの道を、ひたすらに信じ、歩き続ける。

時に止まっていい。振り返ったっていい。振り返った時に、見つかるものもある。ただ「自分」を信じることを、やめないで。

「人」が「生きる」と書いて、「人生」なんだ。意外と幸せはシンプルさ。日が沈むと、西オーストラリア・ブルームの星々がキャンバスいっぱいに広がって、それぞれ個性豊かに輝き始めた。

波の音を聴きながら、僕は星空をただポツンと眺めていた。何もないはずのそこには、”なにか”が紛れもなく存在した。

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