こんにちは、TABIPPOインターンのはやとです。

前回は、南アフリカ共和国の記事(イメージとリアルのギャップに気づかせてくれた国・南アフリカ)を書いたので、是非こちらも読んでみてください!

さて、今回僕が紹介する国は、同じアフリカ大陸にある「タンザニア」です。最近では、バスで男女が旅する某番組のアフリカ編でもこの国を旅していたので、聞き覚えのある方も多いのではないでしょうか。

僕がタンザニアを旅したのは、2017年の夏のことでした。その時僕がこの国に対して持っていたイメージは、

・アフリカの国の中では割と名前をよく聞く
・キリマンジャロ
・キリン、ゾウ、ライオン

といった程度のものでした。特にこの国に対して思い入れがあるわけでも、「世界一周中に何が何でも行きたい!」と思っていたわけでもありませんでした。

ただ、南アフリカからエジプトまでのアフリカ大陸縦断チャレンジを試みていた僕は、何となく聞いたことがあって、且つルートに組み込みやすい立地のタンザニアに行くことを決めました。

事前準備をするというコト

僕は、60を超える国を周った今でも、どこか新しい国に行く際には必要最低限の情報を事前に調べます。これには理由があって、現地の言語や通貨、人々のライフスタイル、そして歴史等を学ぶことによって、旅はさらに豊かになると考えているからです。

防犯の意味でも情報は大切ですし、何よりローカルの人々に対してのリスペクトを持つことができます。「Think globally, act locally」という言葉があるように、グローバル化が進んでいるこの世の中だからこそ、世界の一つ一つの村や街のことを大切にしていく必要があると思います。

あの世界的に有名なマクドナルドも、世界中の至る所に進出していますが、各国のメニューを見ると非常に興味深く、UAEではベジバーガー、日本では照り焼きバーガーのように、その土地に順応したメニューを出しています。

ちなみに僕の情報収拾の方法は、

①旅のブログをネットで読む(「世界一周 タンザニア」と調べると、旅ブロガーが残してくれた、たくさんの情報をゲットできます)

②Googleマップでタンザニアを見て、気になったところを調べる(大きい国立公園や湖が見つかります。秘境を見つけるときは大体この方法)

③Facebookで、旅人のグループに入る(「Tanzania travelers」と調べ、グループに参加すると、その国を現在進行形で旅している世界中の旅人がリアルタイムの情報を発信してくれています)

あとは、現地のホステルやお店などで直接聞いたりしています。

前置きが少し長くなってしまいましたが、僕はタンザニアを訪れる前に例の如く基本的な情報をリサーチしました。当時、そこで得た情報のなかで特に印象的だったものをまとめると、

・ダルエスサラームという街は、南アフリカのヨハネスブルク、ケニアのナイロビと共に「アフリカ三大凶悪都市」と言われている

・JICAの青年海外協力隊の隊員が多く派遣されている

・キリマンジャロはアフリカ大陸最高峰の山

・多くのヨーロッパの富裕層が、定年退職後にこの国でペンション生活を送っている

・紙幣にはBIG5(狩猟するのに最も危険な動物と考えられている動物。バッファロー・ゾウ・ライオン・ヒョウ・サイ)が描かれている

どうですか、事前に情報を少し調べるだけで、今までの知識だけでは考えられない様なワクワクが得られませんか?

地獄のような長い夜を経て、入国

実際に訪れた際は、隣国のマラウィからバスを使い陸路で入国しました。この時のバスは今まで乗ったバスの中で最も長い時間の移動でした。予定では、24時間。

しかし実際には12時間遅延し、結果的に36時間、バスの中にいました。さらに、バスの中では常時、大音量のアフリカンミュージックが流れていて、乗客が常にノリノリで歌ったり踊ったりしています。36時間の移動の中で2度夜を迎えたのですが、僕は結局一睡もできませんでした。

アフリカのシエラレオネ共和国が舞台の『ブラッド・ダイヤモンド』という映画で、自国では起こり得ないトラブルに対して「TIA(This is africa)だ…。」というセリフがあるのですが、まさにこのバスで「これがTIAか…。」と実感しました。

アフリカの楽園「ザンジバル島」

大変な洗礼を受けて入国したタンザニアですが、僕は入国してからある場所を一目散に目指していました。ザンジバル島です。

クイーンのフレディ・マーキュリーが生まれた土地で、美しいインド洋でダイビングを楽しめる、ハネムーンに人気の島です。

ここに来た時、アフリカに滞在して1ヶ月が経過しようとしていました。南アフリカ以来ずっと内陸国を旅してきたので、海でのんびりしたいという思いから、少し値が張るリゾート地にも関わらず、ここを次の目的地に決めました。

アフリカ三大凶悪都市と言われるダルエスサラームからフェリーで数時間で到着します。ダルエスサラームを経由するという危険を冒してでも、この時の僕は海が恋しくて堪らなかったのです。

アフリカ旅で僕が恋しかったもの

大地の香りを嗅ぎ続けていた1ヶ月間。フェリーから降りた瞬間に受けた海風は、僕がずっと求めていたものでした。

この島の旧市街であるストーンタウンは、複数の国に支配されていた背景から、様々な様式の建物があり、世界遺産にも登録されています。

ストーンタウンから少し移動すると、淡いインド洋が見えます。ザンジバル島の海の色は、僕が今まで見てきた中で一番感動した色です。

現地のゲストハウスで医学を学ぶチリ人カップルに出会い、彼らと一緒にビーチへ行ったり、ボートツアーに参加したりしました。

人生最大の命の危機

僕は今まで64カ国を旅してきました。そして、今までの旅の経験の中で最大のイベントがこの島で起こりました。

それが、マラリア。アフリカを訪れるまで、言葉は聞いたことがあるし、なんとなく死に直結する危険な病気だというイメージはあるものの、人生を通して自分とは関係の無い、遠い存在でした。

アフリカ大陸に来てからは、現地の様々な情報を集める中で、マラリアがとても身近になり、常に蚊に刺されないように気を付けていました。しかし、僕は皮肉にも、このマラリアに、今まで見た中で最高の海がある島で感染してしまいました。

最初は感染したとは思わず、「また下痢になってしまった」くらいの軽い気持ちでした。それが時間が経つにつれて、頭痛、関節痛、嘔吐、発熱等の今まで自分が経験した全ての症状が全て一気に降りかかってくるようになり、徐々に体の異変に気付きました。

ザンジバル島は、リゾートといっても大きな都市から近く、比較的平和な島なので、設備の整った病院がありませんでした。僕は、絶望を感じながら宿の受付の人に、近くで診察してくれる場所は無いかと尋ねました。

「大きな病院はないけど、ここから歩いて15分くらいの村に診療所があるからそこに行ってきな〜!」

体調が絶不調の中、陽気な宿の方に元気をもらいながら、診療所まで這いつくばるようにして行きました。診療所に着いたら、優しそうなおばちゃんが出てきて、簡単な採血キットを渡され、マラリアの検査をしてもらいました。案の定陽性。

この時は、今判明してよかったという安心感よりも、マラリアにかかってしまった絶望感が遥かに大きかったです。

死に物狂いで、この時の様子を収めようと撮った自撮り。

「ここから病院に入院か〜」 と落ち込みながらおばちゃんの次の言動を待っていると、錠剤を5つ渡しながら「これ飲んだら治るからね!1日1錠ね!お大事に!」とのこと。

記憶が朦朧としていて詳しいことはあまり覚えてないですが、こんなニュアンスだったと思います。入院を覚悟していた僕は、おばちゃんのフランクさに拍子抜けしました。本当に治るのか不安でしたが、あの時の状況だとその錠剤に頼るしかありませんでした。

結果的に、また旅が再開できるくらいには回復しました。

マラリアというもの

マラリア。日本に住む人々は想像に及ばないほど馴染みのない病気です。今でも、知り合いにマラリアに感染したと話したらほぼ間違いなく驚かれます。

当時のことを今思い返してみると、僕たちにとっては凶悪な存在のマラリアも、現地の人々にとっては割と頻繁に起こる日常のアクシデントで、日本で言うインフルエンザくらいの感覚なのかなと思います。

蚊が最も人間を殺す生物という事実もあるので、もちろん危険なことに変わりはないのですが、一つのモノ・コトに対しての価値観の違いというものを、マラリアを通してまた学ばせてもらいました。

If you wanna go fast, go alone. If you wanna go far, go together.

僕は2019年の1月から2ヶ月間、内閣府明治150年記念「世界青年の船」事業に参加しました。この事業は、「次世代のグローバルリーダーを育成する」という目的の元、世界11カ国から30歳以下の青年を250人弱集めて、船で太平洋を旅するというものです。

ここで僕は、タンザニアの青年から素敵なことわざを教えてもらいました。

「If you wanna go fast, go alone. If you wanna go far, go together.」

短期的に見たら一人が楽かもしれないが、長期的に物事を見た時に、仲間と物語を作り上げる方が素晴らしいものができるよ。

彼はそう教えてくれました。

タンザニアは実際に訪れるまで全く馴染みのない国でしたが、今では僕にとっては身近で、大切な国の一つです。

KEY TRAVELERS

- 世界を旅する8人 -