映画で見た景色が目の前に

イタリアは子供の頃から憧れていた街でした。映画に出てくるシーンを思い浮かべながらまずイタリアのローマに到着し、シンボルの一つコロッセオに向かいます。

ローマ市内は地下鉄が多く走っていて、駅も多く移動するのに便利です。地下鉄の駅を出ると目の前にイメージしていたよりも大きなコロッセオが出現!

今まで教科書で見たり、映画で見た景色が目の前に広がっていて、予想よりも大きいというより分厚いとう印象がありました。ライトアップされたその景色は今ままで訪れたどの国にもない形と色だったのを覚えています。

その姿を堪能した後は、トルコのイスタンブールからスペインのバルセロナまで横断していたこともあり、癒やしを求めてトレビの泉へ向かいました。

トレビの泉は映画「ローマの休日」で有名になった観光地だったので、訪れるのを楽しみにしていた場所の一つです。夜の20時に行ったのにも関わらず、人混みにあふれて前列に行くのにとても時間がかかりました。トレビの泉ではコインを投げると願いが叶うという伝説があったので、僕も投げてみました。その時に願ったのは、この旅が最高のものになるようにという単純な願いです。

単純だけどとても想いが強く、潔く諦めきれない願いだったのです。その時の僕は強情なほどにこの旅で何か大きな経験をして成長しないといけないという気持ちを持っていました。祈った後はトレビの泉の近くのピザ屋さんで腹ごしらえをするのがローマっ子流だろうと決めつけて、美味しいピザを食べて帰路につきました。

サン・ピエトロ大聖堂から見たローマはとてつもなく綺麗だった

「バチカン市国の高台が綺麗だから朝早く行ってみな」

前日に出会った気さくなイタリア人が僕にそう教えてくれたので、朝早くからローマ市内にあるとても小さな国、バチカン市国に向かいました。

広さは東京ディズニーランドとだいたい同じで、サン・ピエトロ大聖堂の上にある塔からはなんとローマ市内が一望できるらしいのです!急いで高台に向かうものの、階段が長く一向にたどり着かない気配を見せていつ到着するのだろう……と思いながらもやっと最後の階段を登り終えました。

ローマ市内が一望できるその景色は圧巻の一言。よく見るとバチカン市国は鉤型になっていて上から見ると建築物としても素晴らしいきれいな形をしていたんです。頂上に着いた時にはちょうど朝日がのぼりとてつもなくきれいな景色を見る事ができました。

「あ、この景色が見れたらそれだけでいいや」

旅に意味を見出そうと頑張っていた自分からこんな考えが浮かぶとは、サン・ピエトロ大聖堂に入る前まで思いもしませんでした。

僕の知っている誰かも、この美しい場所から同じ景色を覗いたはず

ローマをあとにした僕は、次の目的地を花の都フィレンツェに決定。あの有名なレオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロが活躍した言わずとしれた芸術の都です。

決めた理由は、ある写真家のポスターで見た一枚の写真が忘れられなかったことです。それはどこにでもありそうな壁の隙間から覗く、濃いオレンジ色をした建物の写真でした。どこで撮られた写真なのかも忘れたその場所を見つけるために花の都フィレンツェへと向かいます。

フィレンツェの街に到着後、手がかりの濃いオレンジの大きな大聖堂を発見!サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂、花の大聖堂とも言われている建物です。これだ!と思いその近くで高台から見える景色を探しはじめます。

ついに……見つけた。

あの有名なダビデ像の近くのヴェッキオ宮殿の塔から、ようやく心を奪われたあの写真と同じ景色を見ることができました!

隙間から覗いた時に、見覚えのある濃いオレンジの大聖堂が見えました。一気に体が軽くなったのと同時に押し寄せてくるワクワク。写真を撮るのを忘れてずっとその景色を眺めていました。誰かが色んな角度で、人がいないこの穴場から素晴らしい景色を見たんだって。そう思えたらこの旅についてこう思うようになったのです。
「この旅でできることなんてちっちゃくてもいい」

「成長なんて大それたことを考えなくてもいいんだ」

ただ人生で最高と思える瞬間をたくさん作ろうと。

もっと旅をしよう、画面越しの景色じゃ見ることができない本当の景色を見に行こうと。

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